御園座錦秋歌舞伎を観てきました|初めての御園座と、辰之助丈の襲名披露

御園座に並ぶ坂東玉三郎・中村歌昇・尾上辰之助・坂東新悟・市川中車の幟 観劇レポート

名古屋の御園座へ、創立130周年記念 御園座錦秋歌舞伎を観に行ってきました。

初めての劇場です。

チケットは、一般販売で即完売でした

今回のチケット、一般販売は即完売。

推しがいる家族が「どうしても観たい」と考えあぐねた末に、たどり着いたのがこの2つでした。

  • 歌舞伎には「戻り」のチケットが出ることがあるので、毎日こまめにチェックする
  • 今から後援会に入れば間に合うか?

結局、今後のことも踏まえて後援会に入り、手配してもらいました。裏技、的なやつですね。

ただし、ひとつ注意を。 後援会に入ったからといって、必ず良いお席が確約されるわけではないと思います。そこは期待しすぎないほうがいいかもしれません。

公演情報(御園座)

  • 公演名:創立130周年記念 御園座錦秋歌舞伎
  • 日程:2026年10月3日(土)〜10月20日(火) ※休演日 8日・13日・14日・15日(8日・13日・15日は貸切)
  • 開演:午後2時
  • 料金:S席20,000円/A席18,000円/B席15,000円/C席10,000円/D席6,000円/学生券5,000円(2階B席・枚数限定)
  • 演目:一、口上/二、壽御園座花見踊/三、藤娘/四、火の鳥
御園座錦秋歌舞伎の公演時間予定表
▲ ロビーの公演時間予定表

当日の上演時間(掲示より)

  • 一、口上 14:00〜14:10(10分)
  • 幕間 20分
  • 二、壽御園座花見踊 14:30〜14:55(25分)
  • 幕間 10分
  • 三、藤娘 15:05〜15:30(25分)
  • 幕間 30分
  • 四、火の鳥 16:00〜17:15(75分)

終演は17時15分ごろでした。幕間が20分・10分・30分と変則なので、売店に行くなら長い幕間を狙うのがよさそうです。

※予定時間なので、日によって変わることがあります。最新の情報は御園座の公式サイトでご確認くださいね。

名古屋まで|夜行バスと、漫画喫茶

前日は東京にいたので、夜行バスで東京から名古屋へ移動しました。

名古屋駅には早朝に着きます。

「都会だから、なんとでもなるんじゃない? 漫画喫茶でシャワーを使えばいいか」——そう思っていたのですが。

順番待ちでした。

無事に利用できてシャワーも済ませましたが、「都会だから」と油断せず、もっと手際よく手配しておけばよかったな、と。これから遠征される方は、早朝の時間の使い方だけ先に決めておくと安心だと思います。

おかげ庵で腹ごしらえ

おかげ庵でいただいた食事
▲ 九州にはないお店なので、つい

名古屋駅から御園座へは、地下鉄東山線で向かいます。

その前に、九州にはない「おかげ庵」に寄ることに。腹ごしらえを済ませてから、徒歩で御園座へ。

名古屋の道は、広くて歩きやすい。

入場の手際と、広いロビー

御園座の赤いエントランスと大階段、御園座の紋
▲ 赤が印象的なエントランス。大階段は使わず、エレベーターで案内されます

御園座の周辺も、歩道が広くて気持ちがいいです。

それでも列ができると一般の方の通行の妨げになるので、係の方が誘導してくださいます。

入場は、大階段は使わずエレベーターのみで案内されていきます。3か所に2人ずつスタッフの方が配置されていて、とても手際よく入場が進んでいたのが印象的でした。

ロビーも広くて、それだけで感動してしまいました。

売店は少なめな感じもしますが、「必要なものは揃っている」という印象です。

後から知ったのですが、2階の売店のアイス最中が人気のようで、幕間は長蛇の列になっていました。次に行くときは食べてみたいです。

初めての劇場は、やっぱりワクワクします。

席のこと|ドリンクホルダーと、エアウェーブ

今回のお席は、1階6列目の中央あたりでした。

座ってみて、変わっているなと思ったのがドリンクホルダー。あまり使っていらっしゃる方はいないようでしたが、わたしはしっかり使わせていただきました。

そしてもうひとつ。座席に「エアウェーブ」のマットが敷かれているんです。

座り心地が——良い! これには感動しました。

御園座の緞帳。金地に桜と天女が描かれている
▲ 開演を待つあいだの緞帳

開演を待つあいだ、緞帳(どんちょう)を眺めていました。金地に桜の花びらが舞って、天女が奏でている意匠です。これを見ているだけでも、来た甲斐があるというもので。

一、口上

今回は左近改め三代目尾上辰之助丈の襲名披露を兼ねているので、口上があります。

玉三郎丈、辰之助丈、中車丈の3人。襲名披露の口上としては、少人数です。今回の座組そのものが7人ほどの小さな一座なので、そのぶん舞台がぎゅっとしている感じがしました。

辰之助丈は、笑い出すと止まらないことで知られています。若手の歌舞伎俳優さんたちのYouTubeでもその場面がよく映っているので、ファンの間では注目されているところ。

そして中車丈は、チャーミングな方。何か面白いことを言い出すのではないか——そして、それに辰之助丈が反応してしまわないか。そんなことを思いながら、ひやひやして見守っていました。

でも、やはり歌舞伎俳優です。しっかりとお役をこなされていました。 ほんまに素敵。

口上では、こんなお話もありました。玉三郎丈に「何をやりたいの?」と聞かれて、辰之助丈が答えたのが「藤娘」。そして——「今の自分で表現できる藤娘をやりたい」。

実は5月にも、歌舞伎座の「團菊祭五月大歌舞伎」で辰之助丈の襲名披露を観ています。 半年のあいだに、東京と名古屋で二度。

5月の襲名披露は、こちらに書いています
→ 歌舞伎座レポート|三代目尾上辰之助 襲名披露「團菊祭五月大歌舞伎」昼夜通し観劇

二、壽御園座花見踊

いつも女方が多い印象の新悟丈が、男性役(立役)で登場します。殺陣をするわけではないのですが、初々しい少年のような感じだったのが印象的でした。

そして玉三郎丈は「元禄の女」。艶やかで——ほんまに、可愛らしい方ですよね。

元禄の男は、歌昇丈・新悟丈・亀鶴丈の3名。どの方も、楽しそうに魅せる踊りをされていました。

舞台に桜が散っているのも相まって、「この時期に桜の花見ができるなんて、幻想的だな」と思いましたね。

ただ、困ったことがひとつ。どの方の舞も素晴らしくて、どこを見ればいいのか分からなくなるんです。

今回は前のほうの良いお席だったのですが、そのぶん「あちらを見れば、視界から消えてしまう方がいる」。これが残念でなりませんでした。前方席の、ぜいたくな悩みですね。

歌昇丈は、『刀剣乱舞』のときに「色気がすごい!」という印象が残っていました。今回は色気ムンムンではないのですが、華やかさは健在です。

そして市川笑三郎丈。『流白浪燦星』——歌舞伎のルパン三世ですね——の次元大介がどハマりだったので、そういう役の方だと思い込んでいたのですが。基本は女方の俳優さんだったんですね。

スーパー歌舞伎『もののけ姫』ではモロの君、今回は花見踊の元禄の女と、火の鳥の侍女頭。まだまだ詳しくないので、また素敵な一面を見られたと思います。

三、藤娘|音を立てない早替え

これが観たかった。辰之助丈の、チャーミングな藤娘。

本当に、娘役が愛らしいんです。表情も、ふっと和むような愛嬌があって。

そして、口上で聞いたあの言葉です。「今の自分で表現できる藤娘をやりたい」。

背伸びをするでもなく、無難にまとめるでもなく。いまの自分を差し出すと決めていらっしゃる。そう思いながら観ていたら、こちらもグッときてしまいました。

そして、ここでいちばん驚いたこと。

藤娘には、藤の木の後ろにいったん帰って、出てくるときには衣裳が変わっているという早替えがあります。その移動のときに——

一切、音を立てていない。

すすすすす、って。ほんま、藤の花の精なんやなぁと思いました。

四、火の鳥

火の鳥は、手塚治虫さんの漫画が原作ではありません。 脚本は竹柴潤一さん、演出・補綴・美術コンセプトを原純さんと玉三郎丈が手がけた新作歌舞伎です。

火の鳥は、人ならざるもの。寿命が来ると、自ら炎の中に入って再生する——それを繰り返す存在です。物語では、永遠の力を求めた大王が、息子のヤマヒコとウミヒコに火の鳥を探す旅を託します。

ヤマヒコが歌昇丈、ウミヒコが辰之助丈。そして大王が中車丈です。

中車丈の大王は、人間臭くて、バタバタしている感じ。ドラマなどで見るハマり役、という印象を受けました。

このお二人が並ぶと、どうしても『刀剣乱舞』を連想してしまいそうになるのですが——しっかりと、違う話・違う役です。今回は、お互いを思いやる兄弟皇子でした。

刀剣乱舞の歌舞伎については、こちらに書いています
→ 歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』観劇レポート|博多座

そして、玉三郎丈の火の鳥。

正直に書くと、よくも悪くも「玉三郎さんだな」と思いながら観ていました。

セリフの声が——以前シネマ歌舞伎で『二人藤娘』を観たときの、解説をされていたときの声のままに聞こえたんです。役の声、という感じではなく。

ただ、存在そのものの大きさと、優しさは滲み出ていました。

苦しみを経て生き返る、人ならざるものの大きさ。あれは、玉三郎丈だから出たものだと思います。

おわりに

御園座での上演は、10月20日(火)まで。

初めての劇場は、演目だけでなく、建物も、スタッフの方の動きも、座席の座り心地も、ぜんぶが新しい発見でした。

チケットは完売、住んでいるところからは遠い。それでも——「何回も足を運びたい」。そんな気持ちになる、素敵な公演と劇場でした。

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