「アリーナで歌舞伎?」——正直、ぜんぜんピンときませんでした。
でも、莟玉(かんぎょく)丈が鷺娘を舞われる、しかも三番叟もある、と聞いて。仕事の絡みもあってすぐには決められなかったのですが……気づけばチケットをゲットしていました(今回はグリーンコープで取りました)。
波乱の幕開け|当日、電車が止まる
長崎まで、いろいろ調べて電車旅にする予定だったんです。ところが当日の朝、まさかの電車が止まっている。あるあるですよね。急きょ、車で向かうことになりました。
初めて行く場所で、土地勘も混み具合もわからない。おまけに近くで別のイベントもある日。本当に焦りましたが……無事に到着。ふう、落ち着いて。
スタジアムの入り口、エスカレーターの横には「上り」も出ていて、期待が高まります。入り口には大きな看板のフォトスポットが……!(例に漏れず並ぶのが苦手なので、横目に通り過ぎました。笑)

今回の出演者

- 片岡愛之助丈
- 中村種之助丈
- 中村莟玉(かんぎょく)丈
- そして日本舞踊の藤間康詞(ふじまみちのり)さん
「歌舞伎舞踊」というだけあって、舞踊がメインの公演です。だから、観劇初心者の方や、映画『国宝』から興味を持った方にも入りやすそう。夏休み期間中は親子ペアチケットもあったみたいで、「はじめの一歩」にちょうどいい公演だなと感じました。
入場!そして、長〜い花道
入るまでは「アリーナってどんなん?」という疑問ばかり。不安と期待が入り混じりますが、とにかく入っちゃえ!ということで入場。
視界に飛び込んできたのは……長ーい花道。笑
え?これ、どうやって出てくるの? どこから出てくるの?


席が少しわかりにくくて自信がなかったので、スタッフさんに声をかけたら、近くまで案内してくださいました。ありがとう、本当に助かります。花道近くのお席でした。これは、期待が高まります。
愛之助丈のご挨拶が、あたたかい
開演は、10分ほどの愛之助丈のご挨拶から。
「歌舞伎の観劇、初めての方は手を挙げて」と言われて、手を挙げた方も多く。演目・出演者・大向こうについて、みんなを巻き込みながら、本当にわかりやすく進めてくださいました。参加しやすい場を作ってくださって、これはうれしい。
そして、あの長〜い花道の話。「長崎のアリーナ公演は今回で2回目。去年は花道がなくて『花道が欲しい』とお願いしたら、作ってくれたんです。でも……長くて。よく考えたら、ここを歩くのは自分たちなんですよね」と、苦笑いしながら仰っていたのが印象的でした。その話があったからか、花道から帰るときに一度目線を上げる仕草が「ながっ」と言っているようで、客席の笑いを誘っていました。
一、操り三番叟(あやつりさんばそう)
- 三番叟:中村種之助丈
- 後見:中村蝶十郎丈
操り人形が三番叟を踊る、という趣向の作品。観ていると、本当に「見えない糸」が見えてくるような、不思議な感覚になるほど見事な操り人形でした。途中、「翁(おきな)」が糸を直す場面があるのですが、その仕草も絶妙で。
二、鷺娘(さぎむすめ)
- 鷺の精:中村莟玉丈
舞台上で衣裳の早替えがある作品です。それだけでなく、鷺の精を演じる莟玉丈の表情や、手足の動きもとても綺麗で、思わず見入ってしまいました。
三、連獅子(れんじし)
- 狂言師右近 後に 親獅子の精:片岡愛之助丈
- 狂言師左近 後に 仔獅子の精:藤間康詞さん
- 浄土の僧 遍念:中村莟玉丈
- 法華の僧 蓮念:中村種之助丈
連獅子は、6月にも博多座で観た演目(→ その時の観劇レポートはこちら)。あらすじもまだ記憶に残っていたので、少しだけ比べてしまいながら……それでも、しっかり見入ってしまいました。
個性って、こんなに出るんやなぁ。そして、やっぱり仔獅子さんが可愛いのですが、親獅子の愛之助丈は、厳しく・愛情のあるところを見せながらも、ところどころ、なんだか可愛い動きや仕草があったり。個人的な主観ですが、愛之助丈、ほんまにセンスが良い、という感じがするのです。ほんま、主観かもですが。
僧2人がやりとりする面白おかしい場面は『宗論(しゅうろん)』というそうで、これがまた面白くて。今回も笑わせていただきました。
そして圧巻の、花道での毛振り。花道が長いから、2箇所で行うという大サービス。結構、体力を使う演目やのに……ほんまにいいんですか?と思いながら、たっぷり堪能させていただきました。
鳴り止まない拍手、そして
3つの演目は、どれもが「いいとこ取り」のような、見どころたっぷりの公演でした。
拍手が鳴り止まず、「歌舞伎はカーテンコールは無いんですけど」と言いながら、愛之助丈と康詞さんが出てきてくださって。「せっかくなので一言ずつご挨拶しましょう」と話し出した康詞さんの、声の若さにびっくり。今年中学1年生の育ち盛りなんだそうで、連獅子の仔獅子役ができるのは、これが最後かもしれない、と。横で莟玉丈が背比べの仕草をしているのも、微笑ましくて面白かったです。
惜しみながらも、終演。
通常の歌舞伎公演とは違い、少ない出演者での舞台でしたが、満足度は十分でした。また来年も開催されることを祈って——今度は迷わず、早めにチケットを取ろうと思います。
公演データ

- 公演名:長崎スタジアムシティ アリーナ歌舞伎舞踊 特別公演
- 会場:長崎スタジアムシティ HAPPINESS ARENA
- 公演期間:2026年8月7日(金)〜9日(日)(全4公演) ※わたしが観たのは最終日・8月9日(日)14:00開演の回
- 演目・上演時間(8/9の回):ご挨拶(10分)/一、操り三番叟(20分)/〈幕間15分〉/二、鷺娘(30分)/〈幕間30分〉/三、連獅子(55分)
- 出演:片岡愛之助/中村種之助/中村莟玉(かんぎょく)/藤間康詞(ふじまみちのり) ほか
- ※配役など最新情報は公式サイトでご確認ください。


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